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簡易ハンド・ミクロトームのメモ

(2008/04/22更新、2008/04/22公開)
簡易ハンド・ミクロトームのメモ書きです。
 
試料をできるだけ薄くすることが、顕微鏡でよく見るためには大切です。
試料を薄切りにするための装置として、ミクロトームというものがあります。
普通のミクロトームは大がかりな装置で、趣味で買うにはちょっと
高価過ぎますので、ここでは、手作りできる簡易なものを中心に紹介します。

下記サイトにも簡易ミクロトームの紹介記事があり参考になります。
▼きのこ雑記>>簡易ミクロトームのこと
▼さとう博士の研究室>観察レポート・(ミクロの世界の観察)ポテチの袋の観察2 ←ナットとボルトで簡易ミクロトームを作られています。
▼レーベンフック研究会>簡易ミクロトームの試作
▼テックジャム>光学機器(顕微鏡)>顕微鏡関連製品>ミクロトーム ←ね・・・高いでしょう

下記サイトにピスの入手方法などが解説されています。ニワトコやヤマブキ、キブシやアジサイなどの木の枝から入手します。
▼きのこ雑記>>ピスを使った切片作成
▼兵庫きのこ研究会>サロンドナチュレ>ピス作りに挑戦
▼富山きのこクラブ>ピスの押し出し工具作成(2008年3月15日)
発泡ポリエチレン製のピス代用品も市販されています。
▼ケニス(株)>ニワトコ芯(ピス)発泡ポリエチレン10本組



■簡易ハンド・ミクロトームとは

手持ちで、カミソリの刃を使って、ピスに挟んだ試料を薄切りするための道具です。
簡単な道具なのですが、あるのと無いのでは大違い。
ピスとカミソリだけでは難しい薄切りが、少しの練習で切れるようになるはずです。

■プラ注射器とナットで作る簡易ハンド・ミクロトームの例

材料は、100円ショップやホームセンターで揃います。
あと接着剤とカッターナイフがあれば、すぐに作れます。

注射器の外筒の両端を切ってパイプ状にし、片側にナットを接着します。
ナットのすぐ下に押しピンを刺し、ピストンを入れてできあがり。


■ボルト&ナット&ワッシャ製の簡易ハンド・ミクロトームの例

2008年4月に行われた関西菌類談話会の顕微鏡撮影の講習会で、
小寺氏が紹介されたものを参考に(真似して)作ってみた物です。
ネジ切りなどの金属工作が必要ですが、わりと簡単に作れます。
非常に良く考えられた使いやすい簡易ハンド・ミクロトームです。

<主な材料>
長いナット(3/8インチのネジ、長さ40mm)
ボルト(3/8インチのネジ、好みの長さで)
つまみ付きネジ(ネジ径3mm)
ワッシャ
瞬間接着剤

工具など。ネジ山切りするのに、3mmのハンドタップが必要です。

ナットに金工用ドリルで径2mmの下穴をあけます。

3mmのハンドタップでネジ切りします。

ナットにワッシャを接着し、つまみ付きネジ、ボルトを付けてできあがり。


■ピスとカミソリを使って、試料を薄切りします

ハンド・ミクロトームでは、片刃のカミソリが使いやすいです。
「フェザー剃刀のS片刃」や「貝印の柄付きカミソリ」などが向いています。
カミソリの刃はすぐに錆びて切れ味が悪くなりますので、
ほぼ使い捨てと考えてください。

▼フェザー安全剃刀株式会社青函片刃や青函両刃などがよく切れて使いやすいです。ステンレス製より炭素鋼の方が切れ味は上です。
ケンコーコム>化粧品>男性化粧品>シェービング>シェーバー替刃など通販で入手可能です。

ピスを2.5cmくらいに切り、試料を挟み込むために、縦に切れ目を入れます。 ピスに切れ目を入れるには、薄い刃の両刃カミソリが使い良いようです。

ピスに試料を挟む時、爪楊枝の先を使って、
切れ目を広げておくと作業しやすいです。

最初の一切りは、厚めに切り取って、
切り口をワッシャの平面と揃えます。

ボルトを少し回して、ピスを押しだし、カミソリで削ぐように
引き切りします。刃先をワッシャの平面に滑らせて
刺身包丁を引く時のように、一方向になめらかに
引きながら、ピスと試料を薄切りします。
小皿に水を張ったものを受け皿にして、何枚も何枚も
よい薄切りができるまで、切片を作ります。
 
<小寺氏のアドバイス>
「ピスの欠片と試料の欠片がくっついてしまい剥がれにくい場合が多いですが、 切る面に霧吹きで霧を吹き付けてピスを湿らせてから、カミソリで切ると剥がれやすくなりますよ。」とのことでした。こういう小技は、達人に聞くにかぎります。

良い切片が切れたら、水に浮かんだ切片を筆の毛先ですくい取り
スライドグラスに載せます。
必要に応じて、試薬や染色液を使って、プレパラートを作ります。


■染色の小技

スライドグラスに載せた切片に、染色液を1滴。
カバーグラスをそっとかぶせます。
次に片側(写真では右側)から水を1滴、カバーグラスのすぐ横に垂らします。
反対側(写真では左側)から、吸い取り紙で染色液を吸い取ります。
この操作を何度か繰り返すと、染色された試料だけが色づいて残り、
余分な染色液を置き換えることができます。


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