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顕微鏡の自作(その3)供覧顕微鏡タイプ

(公開:2005/06/04、更新:)

 自作顕微鏡の3作目です。今回は既製の対物レンズと接眼レンズを用いますので、照明さえ適当ならば、見え方は普通の顕微鏡並になります。実用品を目指しました。
 DIN規格の顕微鏡の鏡筒長は、160mmとなっているようです。この長さの鏡筒で用いたときに、刻印された倍率になるように設計されています。つまり160mmの筒に対物レンズと接眼レンズを付けて、プレパラートとの距離を調節できるようにすれば、顕微鏡の鏡基としての最低水準を満たす(ほんとか?)ことになりそうです。
 実際に過去には、ステージ下部の反射鏡や光源装置を省略した簡易な「供覧顕微鏡」と呼ばれるタイプの製品もあったようです。
<参照> オリンパス・ストーリー 顕微鏡の歴史VOL.5 いつでもどこでも携帯顕微鏡

 この供覧顕微鏡タイプは、光源部を省略しているので、アームの部分を手に持って、望遠鏡を覗くように水平にし、明るい空や蛍光灯などの照明を光源にして用います。
 アーム部とステージは、蝶ナットで簡単に外せるようにし、バラバラにできます。木製なので軽いです。350gほどしかありません。このくらい軽いと気軽に持ち歩けそうです。かつて携帯顕微鏡というジャンルの光学顕微鏡が多数作られた時代もあったそうです(現在も製品はあるが、需要が少ないので作っているメーカーは限られます)。レンズはメーカー製のものを流用するとして、携帯顕微鏡の鏡基を自作してみるのも面白いかなと思います。

 対物レンズは10倍のものを、内キャップ(PJ-503)に穴をあけ、やや強引にねじ込んで固定しました。接眼レンズは、スペーシアのパイプにほぼちょうど収まります。少し緩いので、厚めの紙を接眼レンズのスリーブに巻いて調整してもいいでしょう。

 しかし、鏡筒が長いので、携帯性はいまいちですかね。携帯性を良くするために鏡筒長を短くすれば、対物レンズの倍率が下がります。倍率を維持したければ、接眼レンズの焦点距離を短いものにすればいいわけですが、顕微鏡用の接眼レンズは焦点距離が長めのものが普通です。天体望遠鏡用には、短い焦点距離の接眼レンズが多数揃っていますね。これを流用できないものでしょうか。(次回工作につづく)


<携帯顕微鏡関連の参考リンク集>

徒然庵へようこそ!「ケータイ顕微鏡」 をつくる
倒立型のデザインで、うまく部品を組みあわされて、小型の顕微鏡を自作されています。また、 ミニ顕微鏡というものも自作されています。すごい。

米国 BROCK OPTICAL社の製品
BROCK MAGISCOPE 名で商標登録。シンプルなデザインのオシャレな顕微鏡です。鏡筒受けの斜め切りでピントを合わせるようです。

リーディビュー ミード携帯型顕微鏡
倒立型デザインの円盤形顕微鏡。どんな見え方をするのか、興味はあります。

ダイコーサイエンス 超小型携帯倒立型生物顕微鏡 DSM
現在入手できる本格的な携帯型顕微鏡。倒立型のデザインです。

旧制長岡高等工業学校の物理関係の資料・懐中顕微鏡
どんな使い方をしたのかな? ルーペよりは高倍率なんでしょうね。

千代田顕微鏡の歴史には、
32 千代田携帯用顕微鏡 Qとか、 65 千代田ポケット顕微鏡 V 1950年〜 などの携帯できる顕微鏡のモデルが紹介されています。


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