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顕微鏡の自作(その4)携帯顕微鏡、鏡基の試作

(公開:2005/06/05、更新:)

 自作顕微鏡の4作目です。今回も既製の対物レンズと接眼レンズを用いますが、レンズを設計した方々から見たら、「なんて邪道なことをして・・・」と思われそうな用い方かもしれません。このことは最初にお断りしておきます。趣味の顕微鏡作りの1つとして、どうか大目にみてやって欲しいなと思います。こういう製品があったらいいな、という希望もこめて。

 DIN規格の160mm鏡筒長で用いたときに、10倍になるように設計されたレンズと、天体望遠鏡の接眼レンズ(スリーブの外径が24.5mmの物)を直接くっつけてみました。これがまた、ちょうどぴったりと組合わさります。上の写真左側がその様子。セロテープで仮止めして、ピントが合う位置にプレパラートを置くと、意外にもけっこうキレイに見えます。プレパラートとの距離を調節できるようにすれば、携帯性の高い小型の顕微鏡になりそうです。
 この場合、鏡筒長は、接眼レンズのスリーブの長さだけ・・・になってしまいます。スリーブの長さは20mmです。160mmの鏡筒長で10倍の対物レンズの倍率は、8分の1程度になる計算です。これでは倍率が1.25倍ということになるのかな。では、接眼レンズの倍率は?というと、明視の距離250mmを接眼レンズの焦点距離で割った値が倍率となります。今回用いた天体望遠鏡の接眼レンズは、焦点距離が6mmと表示されています。つまり、250÷6=約42倍です。総合倍率は、1.25×42=52.5倍となりそうです。覗いた感じは、もう少し高い倍率のように感じられますが。
 写真右側は、試作鏡基の全パーツです。照明装置には、最近お気に入りのLED常夜灯を利用します。将来的には、乾電池で光る部品に変えたいところです。


 鏡基の様子です。今回も 組立パイプシステム「スペーシア」のジョイントを流用しています。用いたパーツは、PJ‐505とPJ‐705。各2個ずつを組みあわせました。鏡筒の支持とピントの調節用に一組、ステージ支持部と光源部に一組です。φ4mmのボルト&ナットで、4〜5mmほどの隙間ができるように固定しました。
 ピント調整には、PJ‐705の筒部に斜めのスリットを切り、PJ‐505にスリットを通してネジを留めました。精度はともかく、直進ヘリコイド風の仕様です。PJ‐505を回すことで、上下に約4mm動かせます。
 ステージは2mm厚の鉄製プレートですが、下部から強力な磁石で固定しています(もらい物のキノコ型マグネットを4つ使用)。磁石での固定なので、自由に動かすことが可能です。このステージにプレパラートをクリップで挟みます。照明装置抜きなら、200g以下です。


 照明装置がなくても自然光などで観察は可能ですが、安定した観察をするためには、光源装置も欲しくなりますね。LED常夜灯を用いれば、簡単に簡易照明が作れます。散光する光を集光するため、LED常夜灯の筒を切って透明のビー玉を載せました。
 写真右が、光源と組みあわせた状態です。この状態でも高さは、15cmほどです。覗くと明るさは十分です(ちょっと眩しい気もする)。アイリリーフが短い接眼レンズなので、視野全体を見るためには、眼を接眼レンズにかなり近づけないといけません。ピント調整は、お世辞にもなめらかとは言えませんが、対物10倍のレンズとの組み合わせでは、実用になるかなと思います。


じつは、40倍の対物レンズでも同じことを試しました。この場合、鏡筒長20mmでは、5倍程度。総合倍率は、5×42=210倍程度になるかと思われます。このくらいの倍率の顕微鏡が携帯できれば、いろいろ活用の幅があるかなと思ったからです。しかし、うまく行かない点がありました。難点はピント調整の微動装置の精度が足りないことです。やはり、日曜工作程度の加工では、限界があるのか・・・(しかし、既製品で流用できそうな「安価でかつ高精度」のラック&ピニオンなんて見あたらないし)。なんとか簡単な工作で、実用に耐える微動装置を作って、携帯できる高倍率顕微鏡を作りたいなと思います。


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