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オタマジャクシの糞の観察例

 梅雨明けがまだとは、思えない暑さのなか、職場近くの川でオタマジャクシを見つけました。川岸沿いの流れがほとんど無い場所に群れています。大きさは約3cm。種類が分からないので、連れて帰ることにしました。しかし、水草らしいものもイトミミズらしいものも周辺には見あたらない環境です・・・。この群れはいったい何を食べて育っているのかな?


写真左上:オタマ(上から)
左中:オタマ(横から)
左下:オタマの糞。これを顕微鏡で見てみました。
中:顕微鏡の視野。そこには・・・広がる珪藻ワールド!、ちょっと感激。
右上:オビケイソウの仲間かな?
右中上:ミカヅキモの1種。Closterium moniliferumというのに似ている。
右中下:珪藻いろいろ。
右下:緑藻、セネデスムス属の1種。

 中の写真は、ほったらかして干からびたプレパラートを撮影しました。いわゆるドライマウント状態ですね。水でマウントしたときより、このほうが見やすい気もします。
 このオタマは、珪藻や緑藻などの植物プランクトンを主に食っているみたいです。オタマの消化液で処理されたものなので、とくに薬品で処理しなくても見やすいプレパラートになってしまうことも「オタマジャクシの糞」を観察することのメリットかなと思います。
 ところで、このオタマの種類ですが、いくつか手持ちの図鑑類を眺めたけれど、よくわかりません・・・。『山渓ハンディ図鑑9 日本のカエル』や『決定版 日本の両生爬虫類』なんかにもオタマジャクシの写真は少なくて、オタマジャクシの種類を調べるのは難しいことが分かりました。分かりやすいオタマ図鑑が欲しいところです。採集できなかったけれど近くに7cmくらいの大きいよく似たオタマがいたので、たぶんツチガエルになるのだろうとは予想できましたが・・・(水槽で飼っているとどんどん大きくなって、どうやらウシガエルのオタマだったようです・・・2006/09/10追記)。
 また、オタマジャクシの食べてるものについても、図鑑には意外と記述が見あたりません・・・。飼育関連の本で『完全図解 生きものの飼い方全書』というのに「オタマジャクシは雑食性で、水中のケイ藻やコケのようなものから動物の死体まで、いろいろなものを角質の歯でけずり取って食べる」と書かれていました。オタマジャクシ、なかなかたくましい奴らです。



<参考になるサイト>

▼微小重力下における両生類オタマジャクシの生理学的研究
オタマの腹側の写真が載ってます。消化管がよく見えますね。カエルになっても腹側の皮膚は水分をよく通して、水分を体内に取り入れるために使われます。

▼島根大学 秋吉研究室 内臓進化の世界
ここの院生がカエルの消化管についていろいろ研究されています。

▼身近なカエル・ヘビ <両生類のここを見よう>


公開:2006/07/13 /更新:2006/09/10

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