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(2016年1月7日公開/2016年1月13日更新)

ミナト光学工業(株)X-LABO生物顕微鏡の試用レポート

昨年、京都府立植物園で行われた「きのこ展」の展示でお世話になったミナト光学工業(株)さんから、
X-LABO(クロス・ラボ)という生物顕微鏡をお借りした。
非常にまじめに作られた純国産の顕微鏡です。
少し使ってみたので、感想をレポートをしてみたい。

▼グッドデザイン賞受賞、メイド・イン・ジャパンの高品質


まず目を引くのが、そのデザインの良さ。
教材や医療用などの顕微鏡では、事務機器的な色合いの地味なデザインが多いので、
新鮮な感じがします。
大きさは、高さ約27cm、幅10cm、奥行き15cm。重さが2.2kgとあります。
黒い収納ケースもアクリル製の窓のある「内部を見せるデザイン」で、非常にしっかりした造りになっています。
コストがかかっているなぁと思う。

 
2015年のグッドデザイン賞。
今回お借りしたのは、B03 Plus (400×プロトタイプ)というモデル。
利用できる倍率は、50倍、100倍、400倍になる。


取扱説明書。図が多くて分かりやすいです。単3乾電池2本で使えるのは便利そうです。

 
しっかりした造りの収納ケース。 取り出す際は、ケース下部のネジで顕微鏡が固定されているので注意。
ステージ上下式タイプで、合焦装置は、粗動のみですが、トルクの調整は可能です。


ケースにMade in Japanの文字がありますね。なかなか、かっこいいです。
アルミ合金の削りだし感がいいですね。高い精度と剛性を感じます。
実際に400倍での観察中に、ステージを左右に動かす力を加えてもピントの位置は、
安定しています。安価な顕微鏡にありがちな剛性の低さはありません。


単3乾電池2本を土台の下部にセットします。
収納ケースに固定するためのネジも土台下部に付けておけるようになっています。
紛失しないための工夫です。ちょっとしたことですが、よく考えられています。

▼乾電池で使えるパワーLED光源


LED光源のスイッチです。明るさを調光できます。
パワーLEDという高輝度光源が採用されています。
併せて、照明ムラが少なくなるような工夫をされているとのことです。
見やすさにつながっていると思います。

 
LED光源を点けた様子。かなり明るいです。 対物レンズは、5倍、10倍、40倍の3つ。
同焦点設計になっています(レボルバーを回して、対物レンズを替えてもピントの位置がほぼ同じになる仕様)。


「しぼり」は円盤タイプで簡易型です。5段階の調整ができます。

▼独特のステージ微動機構

 
ステージは前後左右に約3mm程度ずつ動きます。指でステージ側面を押すと、ゆっくりとじわーっと微動します。
この機構のおかげで、メカニカルステージ不要で快適にプレパラートの散策ができます。

 
ステージは回転もします。なかなか絶妙な調整がされていて、慣れると微動はやりやすいです。


接眼レンズ(WF10×)のカバーキャップは、この部分に付けておけます。
これもカバーキャップを紛失しないための工夫です。
各部の工作精度も高く、仕上げも丁寧にされています。さすが日本製と思わせる製品です。


▼いろいろと顕微鏡で観察してみました

 写真撮影は、コンパクトデジカメで接眼レンズを覗いて写す、コリメート法で行いました。

●藍藻類のイシクラゲの観察


近所の公園の地面に生えてる(落ちている?)イシクラゲを採集。


一部をプレパラートにして400倍で観察すると、数珠のように連なった細胞の様子が観察できます。

●コケ植物のギンゴケの観察


道ばたに良く生えているギンゴケを採ってきました。少し白っぽく見えるコケです。

 
50倍で先端部分のアップ。   100倍で1枚の葉をアップで撮影。
コケの葉は細胞1層で薄いため、顕微鏡観察にはもってこいです。
葉の先の方は葉緑体が少ないですね。このためギンゴケは白っぽく見えます。


400倍で葉の細胞の葉緑体が観察できました。
このくらいの倍率になると、粗動のみでは少しピント合わせが難しいと感じる時があります。

●野菜の西洋ニンジンの観察


冷蔵庫にあったニンジンです。カミソリで断面を薄く削り取って、
スライドガラスに置き、カバーグラスをせずに観察しました。


細胞がたくさん見えますが、オレンジ色の色素は案外少ないみたいですね。

●かつお節の観察


台所にあったパックの「削りぶし」の中から適当な薄さの破片を観察します。


50倍くらいで並んだ細胞のような感じに見えました。


400倍で少し偏射照明風にして目を凝らすと、繊維方向に直行する細かい縞模様が見えます。
筋肉の「横紋」ですね。


偏射照明風にするには、しぼりをほんの少しずらしてやります。 覗きながらどのくらいずらすと見やすくなるか調整します。

●きのこの乾燥標本の観察


トガリアミガサタケの乾燥標本です。
網目状になった頭部の表面に胞子を作る子嚢があります。
この部分をピンセットやナイフで削りとります。
水酸化カリウム3%水溶液を1滴垂らして、ほぐします。
カバーグラスをのせて押しつぶします(押しつぶし法)。


子嚢細胞の中に8個ずつ入った子嚢胞子が観察できました。観察倍率は400倍。

気軽に使いやすいコンパクトな顕微鏡でした

ミナト光学工業(株)X-LABO生物顕微鏡を試用してみましたが、
全体にコンパクトなサイズにできていて、取り扱いはやさしいです。
工作精度も高く、かっちりとした造りに好感が持てます。
乾電池2本で36時間以上使えるので、野外での顕微鏡観察にも適しているでしょう。
LED照明は、発熱が少ない点も長所で、プレパラートの封入液が乾燥しにくいです。
プランクトンなどをじっくり観察するのにも適しているかと思いました。
気になった点は、400倍の倍率では少しピント合わせがしにくい点です。
トルクを調整すれば、調整しやすくなりますが、できれば微動もほしいところです。
しかし、ちょっとした思いつきで顕微鏡観察をするには、このくらいの倍率で
気軽に使えることのメリットの方が大きいようにも思います。
サイズと性能のバランスは良いと思いました。これ以上の光学性能を必要とする場合は、
双眼タイプの研究用顕微鏡を買うでしょうから、そもそも対象としている利用者層が
違っていますね。国産では仕方ない部分があるのですが、少々高価であるので、
その点で万人にお勧めとは言い難いかもしれません。

X-LABOのような純国産の光学機器は、外国産の安価な製品に押されて需要が無くなれば、
生産技術が途絶えてしまうかもしれません。それは非常にもったいないと思います。

中学校や高等学校でも顕微鏡を使う授業は、それほど多くはないでしょう。
少ない授業時間の中で、顕微鏡の操作を覚えるだけでも精一杯かもしれませんが、
身近な物でも顕微鏡で見ると意外な美しさに出会えることもあります。
理科の教員の方も顕微鏡観察の楽しさを伝えていただけるといいなぁと思います。
もっと顕微鏡観察が趣味として、広く普及するといいなぁと思います。

顕微鏡観察で必須となるプレパラート作成のためのスライドガラスやカバーグラス、
ピンセットなどは、最近はAmazonなどの通信販売でも入手できるため、利用したら
良いでしょう。スポイトなどは、100円ショップにも代用品がいろいろあります。


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